中村修二さんがInGaNを用い、MOCVD法で電球なみの強烈な光の「青色LED」を開発されたことを知り、未だ一般には市販されていなかったこのLEDを中村さんから直接送って貰い、卒業研究用試料として用いた。中村さんから送られた試料に添えて中村さんからの御手紙があった。『徳島などという田舎にいるから、こんな物も出来たのでしょう』という簡単な内容の御手紙であった。世の中が(少なくとも日本では)未だ中村さんの業績を認めようとしていない時期であったればこそ、中村さんから直接、開発間もない頃の「青色LED」を送って頂けたものと思う。 このLEDの諸特性を測定中に、I−V特性と発光特性に異常なデータが観察された。このデータを中村さんにお送りし、ご見解をお伺いしたが、LEDを頂いてから一年以上も経っていたこともあり、中村さんからは『私はいま他の仕事に取り掛かっているのでよく判らない』旨のお手紙をを頂いた。恐らく青色レーザダイオードの実用化に取り掛かっておられた時期であったと思う。 これらの事実は、その後、著名人になられた中村さんにとっては全く記憶の外になってしまっていることと思う。国立大学定年後の私大で行ったこの卒研データの一部は大学の研究紀要に残してあるに過ぎない。英文論文に載せなかったことを悔やんでいる。これらのデータの一部は本ホームページでも載せておいた。
開発間もない頃の「青色LED」を中村さんより頂き卒研試料として用いたこと