授与基準の不明確な「現・叙勲制度」

 私の職場が電電公社電気通信研究所であったことも一因となり、三十歳台からの私の学会活動において、私と同輩あるいはその前後の年齢である大学の先生方との接触は極めて多かったと思う。その結果、現在年賀状の交換をしている方々の中には、勲一等の方も勲二等の方々も、そして勲三等の大勢の方々がおられる。これらの方々の大部分は国立大学の名誉教授の肩書きを持っておられる。勲二の方々は、さらに国立大学で学長やそれに準ずる役職に就かれた方が多く、万人が認める功労者の方々であると思う。勲三になると、はっきりいって、玉石混淆のような気がする。 さきに、このホームページで紹介した私の尊敬して止まない「川村肇先生」は勲三・旭に過ぎない。私の知っている国立大学名誉教授の少なからぬ方々が、どのような業績が評価されたのかは理解しかねるけれども、同じ勲三・旭を受けている。 各省庁の推薦枠があることも明確なようで、防衛庁などは、比較的若い政府機関であるためか、所轄大学の名誉教授というだけで殆ど学会活動などしたとは思えないのに、70歳に達すると直ぐに勲三・旭である。日本の半導体開発で大きな貢献をされた、あの有住徹弥先生は勲三・瑞に過ぎないのである。 いかにもアンバランスであるように私には思われる。
 私立大学は明らかに国立大学の下に位置している。学生数、数万人を抱えるさる学校法人理事長兼大学長は国立大学における経歴がないためか勲三・旭であり、名誉教授は通常勲四のようである(役職に就かれた方は別として)。 様々な矛盾のある現在の叙勲制度は今秋から改められ、等級の付かない2種類(旭日と瑞宝)8段階の制度に改められ、官尊民卑も改善されるという。万人を勇気付け、平素の業績を称える公正な叙勲制度になることを大いに期待したい。


左:勲四等小綬旭日章  右:勲三等中綬旭日章
左:勲六等単光旭日章 右:勲五等双光旭日章
左:勲八等白色桐葉章 右:勲七等青色桐葉章