『日本のエレクトロニクスの源流 -電気試験所神代分室の記録』を紹介するこのHPで、「通研卒研生名簿冊子」にまで話が及ぶのは、やや寄り道に過ぎるのでは?と思われる向きも多いかも知れない。
 しかし、「『日本のエレクトロニクスの進歩・発展」を振り返る上で、《エサキダイオード》が果たした役割に触れない訳にはいかない。そして、電気試験所神代分室で「電子管」の研究に携わった研究者の中の少なからぬ方々が、昭和30年代半ばから昭和40年代初めにかけてこの《エサキダイオード》の研究に精力を傾注した。

 例えば、昭和39年4月発行の電気通信学会誌:エサキ
ダイオードとその応用・特集号を思い起こして頂きたい。
     1.原理
     2.材料、製法、設計
     3.測定
     4.回路
     5.年表・文献
     6.エサキダイオードに関する特許

の6項目に亘って、延べ24名の方が執筆されているが、その約半数に近い10名が電気通信研究所所属であり、かつその中の7名が「神代分室」所属であった。
「電子管」から「Tr・IC」へと移り変わるかなり以前のこの時期に、私の中項目研究グループに毎年外部の私大から継続的に卒業研究生が送られ、研究推進のための大きな戦力となった。