− 半導体の正確なデータに最後まで拘った研究者 −
水間基一郎さんを想う

畏学兄 水間基一郎さんを失ってもう1ヶ月近くになる。
  『日本のエレクトロニクスの源流 ―電気試験場神代分室の記録― 』には、幾つかの切り口で多くの事柄が述べられている。その中でも客観的なデータに基づいた貴重な半導体の推移の事実が『第9章 ゲルマニウムとシリコンの歩み』において、克明かつ正確に述べられている。一目して判るように、これらのデータを基にしてシリコンの生産量とDRAMの高密度化の推移などを表現したグラフは極めてオリジナリティの高い力作である。この第9章は水間さんの永年に亘る当該分野での研究者としての歩みそのものを反映したものと言って過言でない。極言すれば、この章だけでも『あの本』は一読の価値がある。『あの本』の編集に携わり隅から隅まで原稿に目を通し、整理・補筆などを行った当事者として、データに忠実で判りやすく原稿を纏めようとされたその真摯な水間さんの御努力に改めて敬意を表したい。